【わかりやすく解説!】日本酒はどう作られる?日本酒の製造過程をゼロから解説

日本酒のきほん

こんにちは!ほろらんです!

皆さんは、普段飲んでいる日本酒がどのように作られているかご存じですか?

実は、日本酒の製造に使われている材料は、「お米」、「水」、「米麹」、「酵母」の4つだけです。この4つの素材からこのブログでも紹介しているような実に多彩で奥深い味わいが生み出されているのです。

本記事では、日本酒ができあがるまでの流れを、できるだけ図や写真を使ってやさしく、要点を押さえながら解説していきます。精米から麹づくり、発酵、搾りに至るまでのプロセスを知れば、普段飲んでいる一杯の味わいが、きっと少し違って感じられるはずです。

日本酒の作り方を知ることは、自分だけの一本を見つけるために絶対に必要な知識です。ぜひ日本酒初心者の方も読んでみてください!

<strong>ほろらん</strong>
ほろらん

この記事はこんな人におすすめ!

  • これから日本酒を飲んでみたい方
  • より深く日本酒の世界を知りたい方
  • 日本酒のラベルの意味を知りたい方

日本酒の製造工程の全体像

まずは日本酒の製造工程の全体をおおまかに見てみます。以下に全体の流れをまとめました。

収穫したお米を処理し米麹を作成する段階、原料をもとに酵母を増やして発酵させる段階、仕上げをして私たちが飲める日本酒にする段階にわかれます。

次にそれぞれの工程を詳しく見ていきましょう。

①精米(せいまい)

上の絵の右の列が玄米、左の列が精米後のお米です。

日本酒づくりは、まず米を磨くことから始まります。精米では、米の外側に多く含まれるタンパク質や脂質を削り、中心の澱粉質を残します。

これにより、雑味の少ないクリアな酒質が生まれます。どれだけ削るかを示す「精米歩合」は、日本酒の印象を大きく左右する重要な要素です。

<strong>ほろらん</strong>
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「精米歩合」は特定名称酒の分類を決めるうえでもとても重要な要素だよ!

②蒸米(むしまい)

洗米・浸漬で適切に水を吸わせた米を蒸し上げる工程です。外側はしっかりと、内側はふっくらとした「外硬内軟がいこうないなん」の状態が理想とされます。

麹づくりや発酵の進み方に大きく関わるため、蒸し加減は酒質を決める繊細なポイントです。

<strong>ほろらん</strong>
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蒸米は「麹」「酒母」「掛け米」の3つに使われるとても重要な材料だよ!

③麹作り(こうじづくり)

蒸した米に麹菌を繁殖させ、デンプンを糖に変える“変換役”をつくる工程です。専用の麹室で温度・湿度を丁寧に管理しながら、約2日かけて仕上げます。

どんな麹をつくるかによって、後の発酵力や香りが大きく変わるため、日本酒の“心臓”とも言われます。

<strong>ほろらん</strong>
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日本酒では主に「黄麹」が使われているよ。ただ最近は「黒麹」や「白麹」を使った日本酒も増えてきているんだ!

④酒母(しゅぼ)作り

酒母は、酵母を健康に増やすための「発酵のスターター」です。麹・蒸米・水に酵母を加え、雑菌が繁殖しない酸性環境を整えながら、強い酵母を育てます。

この工程で育った酵母の状態が、後の発酵力や香りの方向性を大きく左右します。

⑤三段仕込み(さんだんじこみ)

酒母を大きな発酵タンクに移し、麹・蒸米・水を3回に分けて追加していく伝統的な仕込み方法です。

温度や発酵を安定させ、酵母が無理なく増えられる環境を整えるための工夫です。段階的に仕込むことで、発酵中のバランスが良く、雑味の少ない仕上がりが期待できます。

<strong>ほろらん</strong>
ほろらん

一日目の追加を「初添え」、二日目は休みで三日目を「仲添え」、四日目を「留添え」と呼ぶよ

⑥もろみ作り(もろみづくり)

三段仕込みが終わると、発酵タンクでは麹による糖化と酵母によるアルコール発酵が同時に進む“並行複発酵”が本格化します。

これが日本酒特有の製法で、香りや旨みの幅を生み出す要因となります。日々の温度管理と観察が、品質を左右する緊張感のある工程です。

⑦上槽(じょうそう)

発酵を終えたもろみを搾り、液体の清酒と固体の酒粕に分ける最終工程です。機械で圧搾する方法から、袋を吊って自然に滴る酒だけを集める“しずく酒”のような方法まで、搾り方はさまざま。

どの方法を選ぶかによって味わいにも個性が出ます。

<strong>ほろらん</strong>
ほろらん

上槽の種類には、圧搾機を使う「ヤブタ式」、伝統的な手作業で搾り上げる「搾り袋」、高級なお酒で使われる「袋吊り」などがあるよ!

⑧その後の工程

上槽で清酒が搾られたあとも、日本酒づくりはまだ終わりではありません。ここから先は、味を整え、品質を安定させるための仕上げ工程が続きます。
火入れ、貯蔵、ろ過、割水、瓶詰め──これらを経て、日本酒はようやく完成形へと近づきます。

それでは、最終段階の流れを簡潔に見ていきましょう。

火入れ(ひいれ)

搾ったばかりの日本酒には、まだ酵素や微生物が活動できる状態が残っています。そこで、60〜65℃ほどに加熱して、酵素の働きを抑え、雑菌の繁殖を防ぐ工程が火入れです。

品質を安定させるために行われるもので、日本酒の“加熱殺菌”にあたります。火入れを行わないタイプは「生酒」と呼ばれ、よりフレッシュな風味が楽しめます。

貯蔵(ちょぞう)

火入れ後の酒は、タンクや樽で一定期間ゆっくり寝かせられます。貯蔵によって、味が落ち着き、角が取れ、まろやかなバランスへ変化していきます。

貯蔵期間や温度管理は酒蔵ごとにこだわりがあり、ここで酒の個性が育ちます。

<strong>ほろらん</strong>
ほろらん

熟成の過程では糖とアミノ酸が「メイラード反応」を引き起こし、ナッツやカラメルのような様々な味わいを生み出すよ

ろ過(ろか)

貯蔵を終えた酒には、目に見えない微細な成分や色味の元が残っている場合があります。ろ過は、それらを取り除いて酒質を整える工程です。

活性炭ろ過を行うと透明感のある色合いになりますが、香りや風味がわずかに変化することもあるため、蔵によって方法が異なります。

<strong>ほろらん</strong>
ほろらん

活性炭ろ過のほかにフィルターろ過があるよ。昔は酒に活性炭を直接投入する方法が主流だったみたいだね。

割水(わりみず)

搾った直後の日本酒は、アルコール度数が18〜20%ほどと高めです。このままでは飲みづらいため、出荷前に水を加えて度数を15%前後に調整します。これが割水です。

味わいのバランスが整い、より飲みやすい酒質になります。なお、水を加えない「原酒」というタイプも存在します。

瓶詰(びんづめ)

最後に、ろ過や割水を経て仕上がった酒を瓶に詰めます。瓶詰めの際に再び軽く火入れを行う場合もあり、これにより品質が安定します。適切に密封された日本酒は出荷へ向かい、蔵から消費者のもとへ旅立っていきます。

⑨まとめ

日本酒づくりの工程をたどると、米と水が段階を踏んで姿を変えていく、その繊細な積み重ねが味わいを形づくっていることがよくわかります。精米や麹づくり、酒母、発酵、上槽まで、それぞれの役割が酒の個性に直結しています。

こうした流れを理解しておくと、無濾過生酒や山廃、生酛といったラベル表記も自然と意味がつながり、酒の選び方がさらに豊かになります。造りの背景を知ることで、一杯の感じ方がぐっと深まるはずです。

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